イベント情報と報告



NeuroInformatics2012

2012/06/10 5:35 に BReNt Site-Editor が投稿   [ 2012/09/28 23:47 に更新しました ]

ニューロインフォマティクス2012の報告です。

BReNt, RIKEN, U.Penn で発表するポスターが総会2日目のSpotlight Presentation に選ばれました!
というわけで、プレゼンとポスターの準備をして、出かけました。

暑い日本と別世界、ミュンヘンは初秋。朝夕はコートが必要でした。
市内は自転車道が良く整備されています。広い歩道の石畳の一部をはがしてアスファルトにし、自転車道にしています。
知らずに歩いていると、危ないぞ!(と、たぶんドイツ語で言っているのでしょう)と大声と共に、自転車に追い越されます。
通勤に使っている人が多くようです。

<<NeuroInformatics2012 >>
9月10 - 12日ミュンヘン工科大学付属病院講堂にて
ウェブサイトは

NeuroInformatics 第5回総会となる今回は
BCCN2012(Bernstein Conference on Computational Neuroscience 2012)と一連のプログラムで開催されました。 

1日目
>Keynote Lecture:Dr. Gordon Shepherd (Yale Univ) 
嗅覚について、におい物質と受容体遺伝子、嗅球の構造と神経シナップス接続、これらをまとめて神経細胞ごとにデータベース化・・・と理路整然。さらにこれを脳全体に応用してデータベース化、モデルについてもデータベース化と更にすごい。
SenseLab  http://senselab.med.yale.edu/   1993年から20年間の成果発表に圧倒されました。

>>ワークショップ1:BSI田中啓治先生が座長で、日本からは生理研の川口泰雄教授が錐体細胞の神経回路網の多様性と階層構造について、形態と機能を統合してモデル化するお話。これも理路整然。
2つのトークとも、一般化と個別詳細例とが矛盾しないモデル化を目指していて迫力がありました。
>>>Keynote Lecture : 理研の宮脇敦史先生が、独自の蛍光物質発現系を使って神経細胞を染め分ける手法とその例を多数紹介。方法論の新しさが印象的でスライドもインパクト十分のトークでした。

2日目
>Keynote Lecture: Dr. Russell Poldrack ( U of Texas) 
fMRIを使ったヒトの脳高次機能研究のデータベース、データ共有のためのツールについて、
Neurosynth.org:  http://neurosynth.org/ , PubBrain: http://pubbrain.org/ , Openfmri project: http://openfmri.org/ を紹介
INCFらしい発表でした。人MRIデータの標準化が進んでいます。

>>workshop 2: 
Dr. Kim Blackwell シナップス可塑性のシミュレーション:NeuroRD: http://krasnow1.gmu.edu/CENlab/software.html
Dr. Thomas Bartol:  細胞内シグナル伝達のシミュレーション:MCell: http://www.mcell.cnl.salk.edu/
Dr. Nicolas Le Novere:EMBL-EBI http://www.ebi.ac.uk/
Dr. Upindel Bhalla:シナップス可塑性の分子モデリング

BReNt, RIKEN, U.Penn で発表するポスターが総会2日目のSpotlight Presentation に選ばれました!

4分間という厳しい時間制限でしたので、4分のビデオを作成。原稿もぴったりに。
発表原稿とビデオは会員ページ内にあります。

発表内容は、全体の2/3 は、PLOS ONE 
Okamura-Oho Y, Shimokawa K, Takemoto S, Hirakiyama A, Nakamura S, et al. (2012) Transcriptome Tomography for Brain Analysis in the Web-
Accessible Anatomical Space. PLoS ONE 7(9): e45373. doi:10.1371/journal.pone.0045373
残りはネットワーク解析の未公開データです。
プレゼンの後のポスターセッションでは、非常に熱心に質問してくる人が多く、かなり手ごたえを感じました。
INCFなので、遺伝子の話というよりマップを標準空間に配置するための方法論や、データの共有のためのプラットフォームといったことに興味がある人が多いようでした。

3日目
>Keynote Lecture: Dr. Michael Brecht (Bernstein Center for Computational Neuroscience Berlin)
自由に行動するラットの脳の神経細胞群の活動電位を細胞外のごく細胞の近傍で記録する装置を用いて、頭の位置特異的に発火する神経を同定。装置をつけたまま動くラットの写真と動きと連動する活動電位記録が印象的なトークでした。

>>workshop 4C microconnectomes construction に参加
Dr. Hong-Wei Dong (LONI, UCLA) :Stereotaxic methods と蛍光色素のmicro-injection 技術を融合。1mm 間隔のグリッド(3D)の交点で(脳の構造とは関係なく)蛍光色素を細胞に注入し、色素の到達先を250ミクロン間隔の2Dスライスで観察。今まで報告されなかったmacro-connectome を多く(既知ももちろん)見つけていると報告。網羅的な方法論の研究で、個別のコネクトームの研究者から厳しい意見もら出ましたが、非常に面白い実験設定だと思いました。

<まとめ>
どの研究分野でも、扱うデータ量がこれまでに比べて非常に多くなり、データ管理(履歴、保存)が大変だという事。データの共有には、実験を記述する最低限の共通のルールが必要だということ(方法論のオントロジー)。共有して初めて互いのデータを生産的に批判し理解する事ができる。理解する事はモデル化する事、モデル化についてもオントロジー(モデルオントロジー)が必要。このような共通の理解は得られるのだけれども、実験分野の人は、共有化のための定式化した記載では細かい実験記載は実際には難しいと言い、共有化を図ろうとする人は記載の不備が気になる・・・、という平行線が続いているので、なんとか状況を打開する新しい方法論や枠組みが必要だ、必要なら作り出そうという事です。
2日目Workshop 3 は、データの洪水がおきたら、データはどこへ?という演題で、まさにINCFの中心課題です。primary dataset (加工してない元データ)にそれぞれURLを与えて保存しておくという方法が提案されました。どのレベルを primary と考えるかという意見の相違はあるようですが、実際上、、実験ノートや実験データをクラウド上に保存するとURLがついてくるので、それをIDにして改変履歴をはっきりし、最初の段階では非公開、検討段階では限定公開、発表後は公開とアクセス制限すれば、データ洪水の中でも検索で目的のデータを捜すことは可能です。こうしたシステムを研究者が便利だと感じれば、それは淘汰されずに残るだろうと思います。Amazon.com はINCFにデータストーレッジを提供するとのこと(1日目welcome from the INCF director)。URL付きデータの獲得に、企業が参入してきています。公開、限定公開データを上手にフィルターして実験計画に取り込んでゆくことが益々重要になるようです。

Workshop on Atlas Informatics

2012/06/10 5:18 に BReNt Site-Editor が投稿   [ 2012/06/14 6:10 に更新しました ]


スコットランドの古都エジンバラで 2012年5月15-16日の2日間、開かれました。
ウェブサイトでの紹介・プログラム等はこちら
http://www.macs.hw.ac.uk/~ab/atlasinf2012/ 
その後続いて18日まで、INCF Digital Atlasing Task Force Meeting があり、
タフな1週間でした。

前日にパリ・シャルルドゴール空港に9時間足止めされ、ラゲッジは当日15日早朝に届くというアクシデントがありましたが、
(余談ですが、羽田からの深夜出発便は、CDG到着ターミナル変更が多いとのこと、乗継時間に余裕がないと、危険です)
4日間で3つのプレゼンと質問攻めのラボツアーを、何とか持ちこたえました。


Organizer はMRC Human Genetic Unit  Prof. Richard Baldock と Dr. Albert Burger.
彼らのマウス エンブリオ アトラス データベースEMAPは、16年間継続されていて、その堅実な維持・発展ぶりは、まさに連合王国(UK)の名にふさわしいものです。世界中から良い研究対象・方法論を捜してきて、アトラスに統合して発展しています。

BReNt-が広めようとしているTranscriptome Tomography 法を使った遺伝子発現図譜作成に、Richard はいち早く注目して、今回Workshopに招いて、講演の機会を与えてくれました。大変光栄なことで、感謝しています。

Workshopでの講演は、
とても好意的に受け止められました。心配した解像度についても、サンプリングを増やせば解決するというポジティブな意見が多く、精度はこの程度でも共通空間への統合でさらに解析の幅が広がること、詳細解析にはAllen Brain Atlasやその他ISHデータでよいが、全体を俯瞰して、遺伝子発現相互の関係を見るにはTT法が最適といったコメントがありました。いずれにしても、網羅的測定のコストを下げる努力は必要で、そのためにAtlas Informatics が使えるのではという提案がありました。また、transformationの専門家からは、WHSへのregistration programのカスタマイズが必要という意見がでました。この点にについては、INCFでも検討してゆきます。                                                                                  
                              

講演で印象に残ったのは、                           
Large Deformation Atlas Registration; Dr Bill Hill (MRC Human Genetics Unit, UK);
CS14-TS17(mouse-human) Inter-Atlas Mapping (Movie 1) は必見です!
これらのmovie をみると、種の異なる図譜間での比較に説得力がでます。         

エジンバラの食事はおいしかったし、
今後の研究活動の糧になるお土産を持って帰れました。

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